競馬のエージェントとは?歴史
競馬において、エージェントと言えば騎乗依頼仲介者の事です。
正式には「調教師から騎手に対する騎乗依頼を仲介する者」としてJRAに届けを提出している者のことを指します。
このエージェントが登場したのは日本を代表する騎手であった岡部幸雄が競馬に集中するため、『競馬研究』の記者・松沢昭夫に仲介を依頼したのが始まりとされています。
このあと岡部の影響を受け仲介者と契約する騎手が増えました。
こうした流れの中でJRAも2006年4月に追認する形で、騎乗依頼仲介者の制度を導入しました。
競馬エージェントには騎手、調教師の両方に融通がきく立場にあり、トレーニングセンターに自由に出入り出来る立場にある人物ということで、競馬新聞・スポーツ新聞のトラックマン,競馬担当記者などが大半を占めています。
この競馬エージェントの制度によって騎手は騎乗依頼の処理に追われることがなくなり、調教師や馬主などとのしがらみにとらわれることなく競走馬を選択することができるようになりました。
エージェントの問題点
ところがこのエージェント制度にも多くの問題点が指摘されています。
まず、仲介者が多くの騎手のエージェントを兼ねると八百長などの不正行為に繋がる可能性があること、競馬エージェントの多くを占める競馬新聞・スポーツ新聞の記者が、新聞紙面上で予想を発表することから、「騎乗依頼を仲介しながら、馬券の予想行為をすることは公正競馬の確保という観点から問題がある」と各方面、特に競馬ファンの間から批判が多く集まっています。
このためJRAは2012年より、1仲介者につき担当できる騎手の数を「騎手3人+減量騎手1人」と定め仲介者同士でグループを組んだり、ローカル開催時に別の仲介者の代理を務めたりする行為を原則として禁止する方針を打ち出しました。
また新聞記者・トラックマンと騎乗依頼仲介者の兼業を禁止することも検討している事も明らかになっています。
騎乗依頼仲介者となるにはJRAへの届け出が必要で2015年9月からはJRAホームページにも「騎乗依頼仲介者一覧(公式ページ)」が掲載されるようになり、一般ファンにも情報が公開されるようになりました。
主なエージェント一覧
では、どのような人物がどの騎手のエージェントなのかを見てみましょう。
平林雅芳(ひらばやしまさよし)
ホースニュース・馬関西版のトラックマンとして30年あまり活躍した後、フリーに転身。
トラックマン時代に騎乗依頼仲介者の資格を取り、現在も武豊騎手の騎乗依頼仲介者(エージェント)として活躍しています。
>> 武豊のエージェントを10年以上つとめている平林雅芳さんとはどんな人?
小原靖博(こはらやすひろ)
大阪府出身。
1994年にケイバブックに入社し、栗東の想定班を担当、2010年には紙面上で予想を開始、その後騎乗依頼仲介者(エージェント)制度の認可をとりました。
現在は四位洋文騎手、岩田康誠騎手、福永祐一騎手のエージェント担当しています。
井上政行(いのうえまさゆき)
京都府出身。
1991年に株式会社ケイバブックに入社、競馬ブックでの担当は栗東厩舎取材と関西ローカルの本誌担当。
ラジオ関西「パーフェクト競馬!」で解説者。
川田将雅騎手の騎乗依頼仲介者を務めています。
中村剛士(なかむらたけし)
元金沢騎手。
現在、内田博幸騎手、戸崎圭太騎手の騎乗依頼仲介者です。
松本浩志(まつもとひろし)
現役の競馬エイト記者。
現在、北村宏司騎手、田中勝春騎手の騎乗依頼仲介者です。
また、競馬エイトでは競馬予想も公開しているので、こちらの記事もご覧ください。
>> 松本ヒロシの競馬予想は当たらない?2016本命馬成績から的中率と回収率を分析!
川島康孝(かわしまやすたか)
元ダービーニュース記者。
現在は柴田大知騎手、丸山元気騎手、藤田菜七子騎手の騎乗依頼仲介者です。
豊沢信夫(とよさわのぶお)
競馬ニホン記者。
現在はM.デムーロ騎手、C.ルメール騎手、浜中俊騎手の騎乗依頼仲介者です。
まとめ
現在エージェントを利用している騎手は約60%でGⅠなどで活躍するトップジョッキーほどその利用率は高いようです。
まだまだ問題点などもあるようですが、より良い制度になるようJRAを始め関係者全てに努力を重ねていってもらいたいものです。