近年、日本の競走馬が海外のレースに遠征する機会もかなり増えてきました。またそのレースの馬券も購入できるようになってきたので、海外のレースに興味を持つファンの方も増えてきたのではないでしょうか。
ということで、今回は日本馬がよく出走する海外の大レースが行われる競馬場についてご紹介します。
パリロンシャン競馬場(フランス・パリ)
ロンシャン競馬場の風車, 2012年 Copyleft / CC BY-SA (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)
主なレース: 凱旋門賞、パリ大賞典、ガネー賞、イスパーン賞、フォレ賞など
日本中の競馬関係者が夢見て、まだ一度も達成されていない凱旋門賞制覇。その凱旋門賞が行われているのがこの競馬場です。2018年のリニューアルオープンを機にロンシャン競馬場から、パリロンシャン競馬場に名称が変更になりました。
コースは右回りの芝コースのみで、大外回りと中回り、小回りの3種類の周回コースがあります。大外回りだと一周2750m、中回りだと2500m、小回りでも一周2150mあり、自然の中に作られたヨーロッパの競馬場らしい作りになっています。東京競馬場のDコースだと一周が2139.6mなので、パリロンシャン競馬場の内回りと東京競馬場の一周がほぼ同じ距離ということになります。
2018年にリニューアルオープンされた際の工事で最も大きく変わった点は、最後の直線入口の内ラチ部分に、約6mコースが広がるオープンストレッチが作られたことです。これによって直線に向いた時に最内で馬群にモマれていた馬も、内側に6m分進路が開くので、力を出し切れずレースを終えてしまうということが少なくなりました。これは凱旋門賞を予想する際に非常に重要なポイントになるので、ぜひ覚えておきましょう。
そして、日本の競馬場との大きな違いであり、凱旋門賞に挑戦する日本の馬たちが最も苦労しているのが芝の長さです。レースや条件により違いはありますが、長い時は日本の芝の2倍以上の長さになっていることもあります。そのため、芝コースでも非常にパワーが要求され、スピード競馬が主流の日本の競走馬たちのほとんどがパリロンシャンコースの芝に苦しめられます。
逆に言うと、ヨーロッパで活躍している一流の馬たちが、ジャパンカップなどの日本のGⅠに挑戦した時はスピード競馬に対応できず歯が立たないことも多くあるので、日本とヨーロッパの芝の違いは競走馬に大きな影響を与えています。
今後、まだまだ日本の馬や騎手たちが、パリロンシャン競馬場で凱旋門賞に挑んでいくでしょう。競馬ファンとしては1日も早くその頂点に立つ日を見せてもらいたいところです。
参考:凱旋門賞に出走した歴代日本馬の成績一覧。日本馬が勝てない理由
メイダン競馬場(アラブ首長国連邦・ドバイ)
メイダン競馬場で行われているレースの様子 Jaguar MENA / CC BY (https://creativecommons.org/licenses/by/2.0)
主なレース:ドバイワールドカップ、ドバイシーマクラシック、ドバイターフなど
世界一の優勝賞金を誇るドバイワールドカップが開催されているこのメイダン競馬場は、施設も相当豪華です。6万人が収容できるグランドスタンドの中にはホテルが併設され、船着場もあるので船で直接競馬場に訪れることもできます。また、三菱電機製の大型ビジョンは高さ10.88m、幅107.52mの大きさを誇り、スポーツ施設にある一面のビジョンでは世界最大で最長のものになります。
コースは芝コースとオールウェザーコースで競馬が開催されていましたが、オールウェザーは維持費が高額であることから、オールウェザーコースがダートコースに変わることになりました。
ご存じのように、芝のGⅠレースではドバイシーマクラシックのステイゴールド、ハーツクライ、ジェンティルドンナ、 ドバイターフのアドマイヤムーン、ジャスタウェイ、リアルスティール、ヴィブロス、アーモンドアイと多くの馬が勝っています。
ただ、日本との違いはナイターの照明に照らされたり、馬に並走してカメラを乗せた車が走ったりしているので、環境の変化に繊細な馬だとそれを気にして力を出し切れない場合があります。そのあたりを馬券を買う際は注意しましょう。
ダートのレースに関しては世界の強豪馬を相手に苦戦が続いており、GⅠを勝ったのはゴドルフィンマイルのユートピア、UAEダービーのラニのみとなっています。
今年、2019年のドバイゴールデンシャヒーンではマテラスカイが2着に健闘したりもう一歩のところまできているレースもありますが、賞金が世界最高額であるドバイワールドカップの優勝は、今のところは凱旋門賞よりも壁が厚い印象を受けます。
ドバイのレースに出走する日本馬の馬券を買う際は、芝では精神的に敏感ではない馬を買うということを頭にいれておきましょう。ダートに関しては、基本的に通用する可能性は低いので軸馬として買うのは賢明ではないでしょう。
参考:ドバイ競馬とは?コース特徴や日程、日本馬の歴代成績を紹介
シャティン競馬場(香港)
沙田競馬場 WiNG / CC BY-SA (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)
主なレース:香港スプリント、香港ヴァーズ、香港マイル、香港カップなど
馬場は一周1900mの右回りの芝コースで直線は430mと、これまでご紹介した二つの競馬場より小さく、日本の競馬場に比較的近い造りとなっています。ダートコースもありますが日本の馬はほとんど走らないので覚える必要はないでしょう。
ヨーロッパやドバイに比べ輸送距離が短く、コースも日本に近いという理由もあってか、数多くの馬がこのコースでGⅠを勝ってきました。
全てをあげればきりがありませんが、香港スプリントを連覇したロードカナロア、香港マイルと香港カップチャンピオンズマイルを制したモーリス、 クイーンエリザベス二世カップを連覇したエイシンプレストンなど、複数回この地でGⅠを勝った馬もいます。
アスコット競馬場(イギリス・ロンドン)
アスコット競馬場ゴール前 JohnArmagh / Public domain
主なレース:プリンスオブウェールズステークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、シャーガーカップ(騎手招待競走)、クイーンエリザベス2世ステークスなど
最後は近代競馬発祥の地、イギリスのアスコット競馬場をご紹介します。
今年は
シュヴァルグランがインターナショナルステークス(8着)、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(6着)
ディアドラがナッソーステークス(1着)、プリンスオブウェールズステークス(6着)
と、日本の馬たちが積極的にイギリスのGⅠレースに挑戦しています。
イギリスで大レースがもっとも行われるアスコット競馬場ですが、コースは一周約2816m 、直線は約503mとなっており、最も特徴的なのはコースがおむすび型をしていることです。
コースに関しては芝コースだけですが、先程ご紹介したフランスのパリロンシャン競馬場と同じように、芝丈が長く日本よりかなりパワーのいる馬場となっています。
参考:イギリス競馬の歴史や日本との関わり、競馬場一覧、馬券種類、ドレスコード
まとめ
今回は海外の4つの競馬場の特徴をご紹介させていただきました。
競馬場でも国によって全く特徴が違うので、海外レースの馬券を買う際はコースの特徴も頭に入れると的中の確率が上がるのではないでしょうか。
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